あらためて知る「燃料電池」~将来のエネルギー網に欠かせない機器(後編)
使用する際にCO2を排出しないエネルギーとして期待されている、次世代の新エネルギー・水素。水素が広く活用される「水素社会」を構築するカギのひとつとなるのが、水素を使って電気をつくるシステム「燃料電池」です。前編では、家庭用燃料電池「エネファーム」を中心に、そのメリットやカーボンニュートラルへの貢献をご紹介しました(サイト内リンクを開く「あらためて知る『燃料電池』~私にもできるカーボンニュートラルへの貢献(前編)」参照)。後編では、業務・産業用の燃料電池の現状や、水素を直接利用する新しいタイプの燃料電池についてご紹介しましょう。
事業継続に・省エネに…さまざまな場所で活躍する燃料電池
燃料電池は、家庭用燃料電池「エネファーム」が普及拡大するだけでなく、業務・産業用での利用も拡大しています。
業務・産業用燃料電池は、用途に応じて、発電容量も数kWから数百kWまで幅広い種類があります。すでにさまざまな場所において、業務・産業用燃料電池が活躍しています。たとえば、電気が止まってはいけない工場、公共施設、病院・福祉施設などでは、事業継続計画(BCP)の観点から導入が進められています。
導入がおこなわれている施設のひとつがデータセンターです。インターネット用のサーバやデータ通信などの装置を設置・運用するデータセンターは、さまざまな企業や個人のデータをクラウドであずかっています。こうした大事な機器やデータを守るため、データセンターでは停電にそなえたバックアップ電源が必須となります。停電が起こってもガスの供給があれば発電しつづけられる燃料電池は、このような場所でも活躍できます。
また、需要地のすぐそばで電気をつくる燃料電池は、発電時に発生する熱も利用することができます。このように電気も熱もムダなく使用できることから省エネルギー、CO2削減につながるとして、浴槽やシャワーなどでお湯をたくさん使う工場内社員用施設などへの導入実績もあります。